祖母の写真
【 2016年09月02日 AM 02:53 】
叔母が古い写真を持ってきた。祖母の上品さと自分のへちゃ顔対比がおかしいといって、みなでひとしきり笑った。
私は、おばあちゃん子だったと思う。初孫だったから関わりも多かったのかもしれない。
92歳になってもいろんなことを手帳にメモしていて、なんでも自分でやろうとする人だったと記憶している。私が遊びに行くと、出前をとってワンタン麺食べてた。一人分だと頼めないから、って言ってたな。
あるとき、「泊まっていきなよ」って何度も言われたことがあった。「久しぶりに背中かいてあげるから」って。
小さいころ、一緒に寝ると背中かいてくれて、それがたまらなく気持ちよかった。母ではだめ、おばあちゃんの技は最高だった。だからその提案は魅力的ではあったものの、支度もしてなくて面倒だったから、「また来るね」と、あっさり帰った。危ないからって言って、坂の途中まで見送ってくれた。あの頃、私は既に三十路、十分すぎるほど大人だったし、おばあちゃんは、手押し車押しながら歩いてたから、どっちが危ないのかわからなかったけど。
秋になって祖母は入院した。お見舞いにいったとき、薬の袋を破くのが大変そうで、見ているのが悪いような気がした。
「また」はなかった。背中をかいてもらえる至福の時は、永遠になくなってしまった。
この写真の祖母は優しく幸せそうで、素敵な人生を送ったのであろう祖母のこと、もっと知りたかったと思わされた。あの時泊まっていたらもっといろいろな話ができたのかな。
有難うね、おばあちゃん。
投稿者:wpmaster